club mezm(メズム)池袋西口 キャバクラ
東京都豊島区西池袋1-41-5 TOP池袋ビル4F
TEL:080-6341-0607
|
キャスト求人 スタッフ求人 |
東京都豊島区西池袋1-41-5
TOP池袋ビル4F
080-6341-0607 (採用担当者)
スタッフブログ
2026年02月18日 12時47分
”一緒に死にませんか 東京”
___僕はその日、イブなのに激務を任されていた。残業代など出ない、真っ暗な会社で。珈琲をひと口飲んでパソコンを閉じる。
それからコートを羽織って、マフラーを巻いて会社をあとにする。
外ももうすっかり暗かった。
芳ばしい匂いと煌々としたネオンが残る街を抜け、帰宅するともう1時を過ぎていた。
「死にたいひとですか?」
と聞いてきた。
彼女は長い髪の毛に、暗闇でもわかるほど細く、色白な肌をしていた。綺麗な顔をしていた。こんな子が死ぬなんて、とふいに思った。
僕が肩を震わせて呼吸を整えていると、それを気にせず彼女は続ける。
「ロープ、もう一本もってきたんですよ。ほら、どうぞ。」
あ、ちょっと、と戸惑う僕を横目に彼女は、首に縄を括る。
「ここなら交番の横ですから、綺麗なうちにみつかりますよ。あ、あと警察嫌いなんです。ちょっと嫌なもの見せたくて。」
じゃあ、お先に!なんて笑いながら柵から手を離そうとする彼女。咄嗟に、腕を掴んでしまった。
「ちょ、ちょっとまってよ。ほんとに死ぬの」
柵がミシリという音を立てている。
彼女は上目遣いで僕を睨んだ。
「は?あんたも死ぬんじゃないんですか?」
最悪で最低なくらい、高圧的な声だった。
「だ、だって、こういうのって、止めてほしいんだよね?ふ 普通。僕、だから、止めようと思って、来たんだよ。」
僕の顔は完全に引き攣っていた。
だって目の前で人が死にかけているんだ。しかも17歳の少女が。正直トラウマを植え付けられたくない、という本心もありながら。
「馬鹿言うなよ!ふざけるな!死にたいんだよ!死にたいんだよ!」
彼女は叫ぶ。僕の腕を振りほどこうとしながら。
「やっと死ねるのに!ここまでどれだけかかったか!あんたの身勝手な偽善で生きたくない!離して!生きたくないの!」
少しづつ静まり返って来た街に叫び声が響く。
「ち、ちょっと待ってよ!もうちょっとだけ、生きようよ!僕が絶対生きたいって思わせるから!頼むよ!」
僕も叫んだ。
けれど彼女はその倍大きな声でふざけるな、無理、死にたい、を連呼している。
次の瞬間、案の定交番から警官が出てくる。
僕らの異様さに気づいた警官は、すぐに僕と彼女を歩道に引きずり下ろし、柵に結んだ縄を取った。
何をしているんだという怒声が僕たちの倍の声量で響いた。そして彼女を見ながら言う。
「まだきみは若いだろう、名前はなんだ、学校は。住所は…」
彼女は俯いていた。俯きながら、しっかりと僕を睨んでいた。
僕はどうしようも無い気持ちになった。ただ、警官の怒声だけが響くこの場所から立ち去りたい、と思った。
彼女も黙っていた。
僕は咄嗟に彼女の腕を掴んで、走った。公園まで走ろうと思った。
後ろから警官が叫んでいる。横を見ると彼女は僕について走っていた。
真っ赤な頬をして。首にまだ縄が巻かれていて、その姿がとても滑稽だと思った。僕らはなんの会話も交わさずに、気づいたら公園の端まで走っていた。警官の姿はもう無かった。
喉が渇いていることを思い出した。
あぁ、僕は水が飲みたいんだよな。