フィーリングとインターネットの力でオランデーソース(なんそれ)を作る。
帰り道。「あ、わさび切らしてたな」と寄ったスーパーで《事》は起きた。
かねてから食べてみたいと思っていた食材、ホワイトアスパラガスが売っていたのである。2本入り321円、5本入り498円。
5本入りで「買い」だな―――。
でもホワイトアスパラガスってどうやって食うのがいいんだ??なんか大体ソースかかってるかソテーのイメージだよな??とここでGoogle先生に質疑応答の時間を設けていただく。いつもこのように食べたい食材があるが変態のさせ方に迷う時はインターネットの海原に漕ぎ出すので、スーパーのド真ん中でスマホと食材を手に突っ立ってる女がいたら十中八九ララと思っていただいていい。
"右手に死を、左手に生を"ならぬ右手にスマホを、左手に食材を、である。そこにロマンはある。
オランデーソースという存在とレシピにたどり着く。そうと決まればあとはとんとん拍子である。
ちなみにこの時、もうひとつ嬉しい収穫があった。ヤングコーンだ。以前行った居酒屋で出たお通しのひとつだったのだが、ヤングコーンといえばレトルトパウチしか食べたことがなかったので本物のなんとまあうまいこと。その下位互換でも自宅で食べられると思ったらまたしても「買い」でしかなかった。
ホワイトアスパラガスとヤングコーンでエンゲル係数が高まったので、本当はぬか漬け用に購入したいと思っている水なすはまたしても先送りとなったのであった。
さてまずホワイトアスパラの下準備である。
フライパン(茹で時間短縮と節水を兼ねて)で湯を沸かす間にプレモルホワイトビール(わざわざコンビニまで探しに行って買った)と十勝カマンベールブラックペッパーを用意する。決してサントリーと明治の回し者ではない。うめっっ
本当は湯と同時進行でアスパラの根元1~2cmは硬いので切り落とし皮を剥いておく。ここで最大の後悔があるのだが、アスパラはどうやら茹でる前に分断してしまうととても水っぽく仕上がってしまうことが分かった。自分の家の鍋やフライパンは直径がそこまで長くないので何気に半等分にしてしまったが、これだけでかなりおいしさが減るので次回からは厳禁にしなければ。なるほどだから写真で見るアスパラは大概一本漬け状態だったのか、と思い知る。
アスパラの皮、レモン汁と塩少々をフライパンに入れ数分茹でている間にヤングコーンも剥く。どうやらホワイトアスパラの皮は食べずとも、茹で汁においしい出汁が出るらしい。適当に時間が経ったらアスパラ本体とヤングコーンを投入。アスパラに爪楊枝がすっと刺さるまで茹でたら引き上げる。出汁が出た茹で汁はスープ・リゾット・パスタなどに使うといいらしいが、どれも作らないのでひとまず数すくい飲んで味見しておいた。語彙にうまく変換できないが今思うと確かに野菜の出汁はああいった甘みが主な気がする。うまかった。
さて、オランデーソース(なんそれ)である。ホワイトビールを飲み終わる。
卵黄3個ぶんに対してレモン汁小さじ1、砂糖ひとつまみ、白ワイン大さじ1~2、バター50~75g、らしい。
普段調味料はフィーリングで計らずに入れるのだが、このあとのいくつかの繊細な行為のことを加味すると計ったほうが吉だと思い雑ながら計ることにする。
白ワインの香りを強くしたければ白ワイン大さじ2、そうでなければ白ワイン量に対して残りの量を水に置き換える、らしい。酒好きだしな~、と大さじ2にした。
バターの風味を強くしたければ量の範囲内で多めにするのがいい、らしい。我が家のバターミニパックは1包64gとその中庸をとってくれていてたいへん助かった。
行程として一口に言うと湯煎するようなのだが、うちには湯煎で使えるような耐熱性のボウルなどはひとつも無い(割っちゃった☆〜(ゝ。∂))のでフライパンで浅く沸かした湯に底の上がっていない丸くて深い皿を突っ込むことで湯煎を再現することにする。
湯煎のコツは温度を一定に保つこと、らしい。湯煎なんてお菓子を作る錬金術師のなせる技なのでとてもおっかなびっくりである。
昔見た『おかずのクッキング』で土井善晴先生が玉子焼きかなにかを作る時にフライパンの温度が上がりすぎないようにフライパンをときどき濡れ布巾にあてて冷ましていたのを思い出す。自分も湯につけて温める→熱くなりすぎる前に濡れ布巾で冷ます→また湯に戻す の作戦を敢行することにした。
バイブルであり毎週視聴していた(更には毎週ごとに「萌え土井」というタイトルで土井善晴先生の可愛い発言・行動のスクリーンショットを個人的に作成しコレクションしていた)『おかずのクッキング』が突如放送終了してしまったかなしみがフラッシュバックする。しかし番組が終わっても土井善晴先生とその教え、そして我々の食事と生活は続いていくのだ。
……オランデーソース(なんそれ)に戻ろう。あれ、おかしいな。目から汗が………
卵黄、レモン汁、砂糖、白ワインを混ぜ、とろみが出て白っぽくなるまで湯煎する。湯煎に警戒しすぎてめちゃくちゃ(めちゃくちゃ)時間がかかったが多分もうちょっとちゃんと熱してよかった。それから事前に溶かしておいたバターをちまちまと数回に分けてちょっと足しては混ぜ、ちょっと足しては混ぜる。乳化のため、らしい。乳化ってニュアンスでしか分かっていない。ストゼロ飲みながらなので何も分からない。この時点で失敗する気しかしていない。ガッハッハ(海賊の笑い)
あとはひたすら湯にかける↔布巾で冷やす↔バターを足すを終始かき混ぜながら行う。本当にビビりすぎて加熱が足りなさすぎたのが後半浮き彫りに出た。
そして延々と続くループとかき混ぜの中、思う。
「オランデーソース(なんそれ)ってそもそもどんな形状かわからん。」
「どこまでやればおれはこの円環の理から解放されるの????」
ここでまたインターネットの海を揺蕩う。クラシルさんありがとう。なるほどオランデーソースとはこのくらいの質感なのね。料理動画ってありがたい。
とりあえず加熱の足りなさを感じたので少し攻めの姿勢に切り替える。先程のサルベージ品のようなもったりとした質感になってきたのでここで終了。余熱で固くならなりすぎないようにすぐさま冷ますのはぬかりなく。
やはり湯煎という行為は敬意を払うべき綿密かつ丹念な行為である。菓子作りや一部料理で湯煎を意のままにできる方に、敬礼。
皆さんもぜひオランデーソース作ってほしい。