
女性オーナーも増えてきたガールズバー。「いつか私も!」と開業をめざしている人も多いと思いますが、風営法についてはご存じでしょうか?風営法は、夜の店を開業させる上で非常に重要な知識です。そしてもちろん、働く側にとっても、知っておいて損のない知識でもあります。今回はガールズバーと風営法について、くわしく解説。良いお店を見極めるひとつのポイントにもなるので、ぜひおさえておいてくださいね。
ガールズバーと風営法|複雑でも安全な歓楽街に必要な法律
風営法の正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」です。お酒を出すお店やピンク系のお店などを法律上の”ジャンル”として分けることによって、さまざまな細かいルールを設けています。
たとえば「このお店は深夜もお酒を出していいですよ」や「こういうお店には18歳未満の入店はダメです」などのルールがあることにより、その地域にいる未成年者がバイトを探すときに安全なお店を選べますよね。
もちろん大人にとっても、歓楽街が無法地帯になっては安全な夜遊びができません。風営法は非常に複雑な法律と言われ、専門家でも判断がむずかしいケースが多くあります。
しかし働く女の子もお客さんも、安心してお店が選べる環境作りには必要な法律なんです♪これからガールズバーの開業を考えている方は特に、「経営者が風営法をよく知らない」では信頼を得られません。
ぜひこの記事で知識を深め、必要に応じて相談できる専門家とのつながりを作っておくなど、今から基盤を整えていってくださいね!
「風営法」をくわしく解説!ガールズバー営業に必要な許可とは?
風営法の名称に入っている「風俗営業」には、大きく分けて2種類あります。
- 接待飲食等営業:キャバクラやホストクラブなどが当たる
- 性風俗関連特殊営業:ピンク系の性風俗店が当たる
ガールズバー営業に必要な風営法の知識は、「接待飲食等営業」です。接待飲食等営業は、さらに細かく5種類に分けられますので、以下の表でくわしく見ていきましょう!
| 1号営業 | 接待をして飲食キャバクラやホストクラブ、料亭も含まれる原則、深夜0時までの営業 |
| 2号営業 | 店内の照度を10ルクス以下喫茶店やバーなどが含まれる原則、深夜0時までの営業 |
| 3号営業 | 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業他から見通すことが困難ネカフェ、カップル喫茶などが含まれる |
| 4号営業 | 客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業麻雀店、パチンコ店などが含まれる |
| 5号営業 | 賭博性のあるサービスの提供はNGアミューズメントカジノなどが含まれる |
これを見て、「あれ?ガールズバーってどこに含まれるの?」と疑問に感じたのではないでしょうか。女性が中心となる接客で、一般的にはナイトワークのひとつであるガールズバーは、「法律的にはキャバクラと同じ」なイメージがありますよね。
しかし実は、ガールズバーは基本的に「風俗営業」ではなく「飲食店」に分類されます。ここからは、ガールズバーの営業に必要な許可や届出の種類を見ていきましょう!
ガールズバーの営業に必要な2つの許可
飲食店に分類されるガールズバーには、以下の許可取得と届出の提出が必要です。
- 飲食店営業許可
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出
ガールズバーのように、いろんな人にフードを提供するお店は食品衛生法で「食品等事業者」として定められています。このため、ガールズバーを含む飲食店をオープンさせるときには都道府県知事の許可が必要なんです。(手続きは近くの保健所へ!)
そして「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」は、深夜0時以降にもお酒を出すお店で必要な届出です。ガールズバーのほとんどは朝まで営業していますのでこの届出を出すのも一般的ですが、23時頃閉店とする場合には必要ありません。
ガールズバーでも風営法の1号営業になるケース
実はガールズバーでも、キャバクラやホストクラブのように「風営法 第1号営業」の許可が必要なケースがあります。というよりも、現在主流となっているガールズバーのほとんどは、本来風営法第1号店にあたると考えていいでしょう。
ここから少し複雑になってきますので、分かりやすく解説していきますね♪
風営法 第1号営業のサービス内容をくわしく!
先ほどの表では「キャバクラやホストクラブ」と、ざっくりとしたまとめ方をしましたが、ではキャバクラやホストクラブって、どんなイメージがありますか?
ずばり「お客さんとちょっとイチャイチャしつつお酒を飲む場」ではないでしょうか。実はこの「ちょっとイチャイチャ」が、風営法でとっても重要なポイントなんです!!
第1号営業が、風営法でどのように決められているかというと、「キャバレー、待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」となっています。
この文章の中に入っている「接待」がキーポイントで、接待とはそもそもなんなのか?というと、「歓楽的雰囲気をかもし出す」ことと記されています。
じゃあ歓楽的雰囲気って何?となるわけですが、それがキャバクラやホストクラブの「ちょっとイチャイチャ」なんですね。もっと厳密にいうと、カラオケのデュエットや指名制度なども風営法上の接待行為に含まれます。
「ガールズバーはカウンター越しだからOK」は古い常識
ちょっと考えてみてもらいたいのですが、今のガールズバーって、どんな雰囲気でどんな接客スタイルのお店が多いでしょうか?本当に女性バーテンダーがただお酒を作るだけ……なんてお店は、ほとんどありませんよね。
実際はお客さんと仲良くなって、一緒にカラオケをしたり連絡先交換をしたり、中には指名や同伴制度もありますよね。つまりお客さんに対して「気に入ってもらうように色気を出す接客」なわけです。
「あれ?でもカウンター越しの接客なら風営法には引っかからないんじゃないっけ?」と思ったあなた。残念ながらそれはちょっと古い常識です。
カウンター越しであろうがなかろうが、お客さんに対して「その気にさせる」「特別感を出しつつ仲良くなる」などの接待スタイルなら風俗営業許可が必要になるんです!かなりあいまいな言い方ですが、風営法の内容そのものがあいまいなのは覚えておくべきポイント。
ただ、実際には風営法の許可を取らず接待スタイルの営業をしているガールズバーが多いのも事実。故意に取っていないわけではなく、「カウンター越しだから不要だと思った」というケースも多いかもしれませんね。
ガールズバーを開業するなら、まずはどんなふうに接客するお店なのか?を具体的に書き出してみましょう。1つひとつの接客スタイルが風営法に含まれるかどうかを確認し、必要な届け出を整理してくださいね。
ガールズバーと風営法|開業をめざす人が知っておくべき注意点
ここからは、ガールズバー開業をめざす人が知っておくべき注意点を整理してお伝えしていきます。
- 「深夜営業(お酒あり)」と「接待行為」の両立はNG
- 労働基準法にも気を付けて採用を進めること
- 深夜営業で指名制度はNG
- カラオケデュエットについて
それぞれくわしく見ていきましょう!
「深夜営業(お酒あり)」と「接待行為」の両立はNG
ガールズバーの営業では、「深夜から早朝にかけての営業時間にしたいし、女の子の接待もつけたい!もちろんお酒も!」と考えている人が多いと思います。ですが、残念ながら合法的に深夜営業(お酒あり)と接待行為を両立させることはできません。
なぜかというと「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」と「接待飲食等営業」を、同じ店から併用して出すことはできないからです。
つまりキャバクラやスナックの多くが深夜営業をしていないのは、「接待」の方を取っているんですね。上記した2つの営業届併用が許されてしまうと、そもそも「キャバクラは深夜営業禁止」のルールを作った意味がなくなってしまいます。
現実的には、接待なしで深夜にも営業する店にするか、それとも接待ありで深夜前に閉店する店にするかの二択です。どうしても両方の許可を取りたい場合には、「0時にいったん閉店をして、まったく別のお店として深夜から営業開始」という方法には可能性があります。
しかしこの方法もあくまでも「できる可能性がある」というだけで、かなり難易度は高め。まったく別のお店にする以上、オーナーやスタッフ、店の名前まですべて入れ替える必要があります。
そのため深夜営業と接待行為を欲張るのはおすすめできませんが、どうしても実現させたいのであれば行政書士や専門家へ相談してみるのがベストです。
労働基準法にも気を付けて採用を進めること
ガールズバーを開業する上で注意すべきは、風営法に加えて労働基準法もあります。特に採用するスタッフの年齢には、細心の注意を払ってください。
風営法では、18歳未満に接待行為をさせることを禁止しています。さらに労働基準法では18歳未満は22時~翌5時の間は働くことができません。
「17時の開店から22時まで」であったとしても、18歳未満を雇用するのはNGです。接待行為がなければ法律上の問題はありませんが、世間一般のイメージとして「ガールズバーで接待行為がない」は通用しないでしょう。
ナイトワークでは、いくらお店側が注意しても年齢を偽って応募してくるケースがあります。あとから「知らなかった」では済まされませんので、写真付きの身分証明書を提示させるなど、面接での年齢確認は徹底させてくださいね。
深夜営業で指名制度はNG
先ほどお伝えしたとおり、深夜営業と接待行為の両立はできません。そのため接待行為にあたる「指名制度」を深夜営業のガールズバーで取り入れていると、完全に違法行為となってしまいます……。
この業界にある程度いる方なら、「うーん、でも実際は指名みたいなことやってるガルバも多いよなぁ」と感じたかもしれません。事実、ガールズバーの中には「推し制度」を取り入れているお店があります。
推し制度はもともとコンカフェにあったシステムですが、指名制度が使えないガールズバーで採用するお店が増えてきました。しかしいくら呼び方が違っても、実際にやっていることは指名と変わらないので、かなりのグレーゾーン。
警察からの心証も良くはありませんし、同業者やお客さんの噂でマークされる可能性もあります。このように風営法は、その複雑さゆえ抜け穴が多くあります。
しかし「健全なお店」をめざすのであれば、深夜営業での指名(推し)制度は取り入れないようにするのが無難でしょう。
カラオケデュエットについて
ガールズバーの営業では、カラオケにも注意が必要です。デュエットをしたり手拍子をしたりなどの接客スタイルは、風営法で「接待行為」にあたります。
また、深夜0時を過ぎてから「お客さんにカラオケをすすめる」も、実はNG!カラオケはあくまでもお客さんが勝手に楽しむ要素として取り入れるのが安全ですね。
ガールズバーが風営法違反で摘発されるとどんな処分が下る?
これまで風営法についての解説を進めてきましたが、実際に風営法違反によって摘発された場合には、どのような処分が待っているのでしょうか。
<風俗営業許可なしでの接待>
- 2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、又はこれの併科(風営法第49条)
<風俗営業なのに深夜までやっている>
- 50万円以下の罰金(風営法54条)
この他、18歳未満を働かせていると「児童福祉法」「労働基準法」などにも抵触し、懲役刑や罰金刑が下り、前科がつくケースも……。当然ながら、営業停止などの行政処分も下ります。
ちなみに風営法違反の摘発には、さまざまなきっかけがあります。警察は定期的な巡回をしていますし、風営法を守って営業している近隣店舗からの苦情やタレコミも。歓楽街は横のつながりも強く、「みんなで街を守る意識」が意外と強いですよ!
まとめ
風営法は非常に複雑で、専門家ですら判断に悩む要素が多い法律です。抜け穴も多く、実際にはグレーゾーンの接客方法や営業形態を取っているガールズバーも多くあります。
しかし「これくらいOKでしょ」と軽い気持ちで営業を続けていると、思わぬところから取り締まりを受けるものです。風営法はしっかりと守って、健全な夜の街を作っていきましょう!
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