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2014.12.01
作者情報
| 中里 朱里 |
| 小説家兼コラム二スト。 主に小説、恋愛コラム、携帯ゲームシナリオなどを手がける。 公式サイトはこちら 「nakasato akari.voice」http://nakasatoakari.jimdo.com/ 現在の仕事状況&実績、お知らせなどはサイトをご覧ください。 |
ホトトギス!【完】
2014.09.08
第9話 あたし、No.1目指します!(後編)
「え? ちょっと信玄さん?」
葉は何故この場で言うか分からず戸惑っていると、信玄は葉の頭を乱雑にくしゃくしゃと撫でる。
「あ、別にこいつに不満があるとかじゃないぞ。ずっと考えていたんだ。何故この時代に来たのか。未だに理由は分からん。けど折角戦のないこの時代に来たんだ。やりたいことをやろうと思っていてな」
「やりたいこと……」
幸村がぼそっと呟く。
「あぁ、昔から俺は歌うのが好きなのはお前ら知っているよな。で、前から興味あった芸能界にスカウトされたからそっちの道にいってみようかと思って。で、あと1カ月で辞めるし、折角だから俺もNo.1を最後に真面目に狙ってみようかなと」
あまりにも軽いNo.1狙い宣言にその場にいた全員、口をぽかんと開けた。
信玄の売上は4~7位と安定しないが客単価は誰よりもずば抜けて高い。ただ、路上ライブなどと掛け持ちしているので、出勤率もこの中のメンバーで一番低い。そんな信玄が真面目にNo.1を目指すとなると現状No.1の信長でさえ地位が危うい。
となると葉がNo.1になるのは、とてもではないが無理だ。
「信玄さん……」
顔を益々青くする葉に、落ち着けといわんばかり、葉の頭をもう一度ぽんぽんと撫でる。
「まあ俺が本気を出すと、葉はしんどいと思うし、せめて売上No.3までにしたげてよ。光秀」
葉はほっとした。勿論No.3も厳しいが、No.1よりはハードルが下がる。
「ダメだ」
けれども断固として首を縦に振らない光秀に信玄はうなった。
「えぇ、ケチくさいな。じゃあ、こうしよう! 来月No.1になった奴の言うことを聞く! これでどうよ!」
「あ、それ面白そう」
政宗が目を輝かせた。
「だろ? 人生は何があるか分からんこそ、楽しく生きなくちゃな。勿論、光秀がNo.1になったら葉を辞めさせてもいい。ホストは実力社会だしな」
「くっ」
自分が言ったセリフを言われて光秀は言葉に詰まった。腐っても元No.1だ。No.1がとれる自信がないとは言えないだろう。
つまり、葉は光秀がNo.1にならない限り首にはならない。
最近の売り上げが安定しない葉の為に、信玄はハードル下げたのだ。
葉がほっとしていると、思わぬ伏兵がいた。秀吉だ。
「……No.1なら何でも言うこと聞いてくれるんっすよね?」
「まぁ、常識の範囲内なら。なあ、葉」
「あぁ」
葉が頷くと秀吉はふっと笑った。何か嫌な予感がする。
「じゃあ、オレがNo.1になったら、葉の一日、オレにください」
一同、時が止まる。
「は?」
葉が聞き返すと、秀吉は顔を赤く染めながら小声で言葉を続けた。
「……あ、勿論夜込みっすよ?」
「え? あ?」
訳が分からず葉がうろたえてると、信玄は面白そうに豪快に笑った。
「まぁ人生は楽しんだ者勝ちだしな!」
「あらあら、アンタそういうこと?」
謙信は秀吉と葉を交互に見ながらにやついた。
「え? え?」
何のことか分からず葉は激しく動揺したが、夜も込みと言われて流石に理解した。女として秀吉と共に過ごせということだろう。分かった途端、葉の顔は真っ赤になった。
「えっ? ちょっと!!」
「大丈夫っすよ、葉。リードするんで! それに、常識の範囲内ならOKなんすよね?」
にやっと笑う秀吉に、葉はしまったと思ったが後の祭りだ。
「だ、大丈夫じゃない~~~~~!!!」
仮眠室に葉の悲鳴が響き渡った。
「……僕が一位になったら、どうしようかなぁ。……デートもいいですね」
そんな葉の様子を気にせず、幸村は腕を組み考え込み始めた。
「はい、はいー!! 俺も葉オーナーとデートしたいですー!それと店のキッチンを広げて欲しい!!」
元気よく政宗が手を挙げて希望を言うと、謙信も便乗する。
「あ! あたしも葉と、お買い物デートしたい! あとあたし用の化粧室が欲しいわ! 他の人達と一緒に着替えるのは落ち着かないのよねぇ」
「お前らとデートはさせん。まあでもパソコン部屋が欲しいな」
最初は深刻そうな顔をしていた信長も、火傷もたいしたことなさそうな葉の様子にようやく安堵の表情で言った。
「それ、俺の借金増えるだろ!!」
葉はようやく起き上がって一同に抗議するが、誰もろくに話を聞いてない。それぞれ勝手に自分の願いを口にする。
「……はぁ」
葉が女と分かっても、深刻なのは最初だけで、むしろそれをお祭りにしてしまう彼らに千代は呆れた。そして来月はまた一段と色々と賑やかになりそうだ。
(他の人もそうだけど、とりあえず秀吉のNo.1は絶対阻止しよう)
葉がホストを続けるかどうかより、彼女の身を守る方が先だと千代はこっそり決意したのを、葉は知らない。
葉がホストをはじめて1年と2カ月。残り借金4億円7,120万円。
続く
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