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ポケパラ体入>ポケノベ>ホトトギス!>第7話 あたし、ホスト達と温泉で……!(前編)
小説タイトル
イラスト:ヨルノトウコ

目次

【完】

作者情報

中里 朱里
小説家兼コラム二スト。 主に小説、恋愛コラム、携帯ゲームシナリオなどを手がける。 公式サイトはこちら 「nakasato akari.voice」http://nakasatoakari.jimdo.com/ 現在の仕事状況&実績、お知らせなどはサイトをご覧ください。 

小説タイトルホトトギス!【完】 更新日時2014.08.04

第7話 あたし、ホスト達と温泉で……!(前編)

小説挿絵 2004年1月31日

『天国のママへ。 あたし、恋したみたい。でも……』

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「はーい! 次あたし歌うわよ!ちょっと信玄あの曲弾いて!」

「はいはい」

小型バスの中はちょっとした宴会状態だった。

一番後ろの席でおしぼり片手に謙信が熱唱すると、隣で信玄がギターで伴奏を弾く。

運転は秀吉、助手席には光秀、光秀の後ろには葉が座り、その後ろに座る政宗からお弁当が差し出された。

「あ、葉オーナー! これ、俺が作った弁当です! 食べてみて下さい!」

「あ、政宗。ありがとう」

「葉様、秀吉様、お菓子は僕が作りました」

「オレ、今運転しているから口の中に入れて。幸村」

「はい」

秀吉の後ろに座る幸村は運転する秀吉の口にクッキーを放り込んだ。

「信長殿、あのゲーム始めました? 今度一緒に狩りにいきましょうよ」

「あ、もう始めているぞ。そういやこの前俺らがモデルのゲームを見つけたんだが、俺ら女という設定になっていた」

幸村の後ろに座る千代は、真後ろの席に座る信長とネットゲーム談義で盛り上がっている。

「家で休みたかった……あ、違う秀吉、この道真っ直ぐだ!」

光秀は助手席に座り、文句を言いながらも地図を片手にナビゲーションしている。

「うぉ、光秀ありがとー!!」

「……早く宿でゆっくりしたいしな」

「ちょっと奥さん、また光秀のツンデレがはじまりましたっすよ」

「えぇ、これがいわゆる明智様のテンプレなツンデレってやつですね」

秀吉と政宗がからかうと、光秀が顔を真っ赤にした。

「うるさい! 秀吉、政宗!!」

「……早く宿で寝たい」

騒ぐホスト達を見ながら、葉はため息をつく。

葉は信長、秀吉、家康、信玄、謙信、幸村、政宗、光秀の神9達と旅行に来ていた。

目的地までは何故か免許を持っている秀吉が小型バスを手配していた。

「なんで秀吉免許持ってるの?」

葉が尋ねると秀吉はニヤッと笑った。

「企業秘密」

(深く考えるのはやめておこう……)

皆大いに盛り上がり、車中はちょっとした修学旅行状態である。

普段もてなす側のせいか、自らが楽しむ旅行はなんだかんだ言いつつも全員楽しみにしていたようで、料理が趣味という政宗は全員分のお弁当を用意し、千代と信長の二人はパソコンを使って旅行のしおりまで作っていた。

「え!? 旅行先って城崎温泉!?」

葉は思わず声をあげた。仕事が忙しく、秀吉と千代に旅行の手配は任せっきりでどこに行くかは全く把握していなかったのだ。

「お~裸同士の付き合いだな」

一番後ろの席を陣取る信玄が朗らかに笑った。旅には音楽だとギターを片手に信玄は歌い、バスの中はカラオケ状態である。最高潮の盛り上がりを見せていた。

まずい、温泉というのは非常に不味い。葉は助けを求めるように、斜め後ろに座る千代を見るが、千代と政宗で『ホトトギス』で出すフード談義で盛り上がっていた。

「家康さん、今度の月変わりのフードにこの弁当のおかずどうですかね」

「ふむ、味はいいですね。検討してみます」

(どうしよう……)葉が一人焦っていると、ぽんっと葉の肩を叩くものがいた。信長だ。いつの間にか政宗と席を変わったようだ。

「なあ、部屋割は決めてたか?」

「まだっすよ、信長様」

葉のかわりに、運転している秀吉が答えると、信長は頷いた。

「ふむ。じゃあNo.1の俺と、オーナーの葉は同室で、101号室な」

そう言ってしおりにある宿の間取りを信長は指差した。

「えぇ~その部屋個室風呂付じゃないっすか。じゃんけんです、じゃんけん」

秀吉達が食い下がるが、うるさいと信長が一喝すると、文句を垂れながらも大人しくなった。そして、そっと葉の耳元で信長がささやいた。

「さくら、お前は部屋の風呂を使え。俺は他の部屋で寝る」

信長の意外な紳士的な態度に、葉は戸惑った。

「……ありがとうございます」

小声で礼を言うと、ぽんと信長は頭を撫でた。葉は顔を赤らめる。今日の旅行の為に仕事をまとめてこなしたので、体がだるいが信長のお陰で心は軽くなった。

まただ、と思った。葉を女と知っている信長は、こうやって時折葉をフォローしてくれる。千代も葉のことをフォローしてはくれるが、どこかちょっとバカにしたような態度をとる。しかし信長はさりげなく葉の立場もわきまえて、今もオーナーとして尊重したかのようにフォローしてくれる。

(信長さんってほんといい男だよね……)

背後で座る信長の姿にちらりと視線を送ると、葉は悩ましげに息を吐いた。

「秀吉、前向け」

そんな葉を横目で見る秀吉に、光秀がたしなめた。

「あ、あぁ」

それぞれの想いが、交錯する。


続く

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