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New!!
2014.02.10
作者情報
| 中里 朱里 |
| 小説家兼コラム二スト。 主に小説、恋愛コラム、携帯ゲームシナリオなどを手がける。 公式サイトはこちら 「nakasato akari.voice」http://nakasatoakari.jimdo.com/ 現在の仕事状況&実績、お知らせなどはサイトをご覧ください。 |
ノブナガ【完】
2014.01.20
第14話 ロザリオとドレス(前編)
ノブナガは激しい頭痛で目が覚めた。
「うううっ」
「やっと目を覚ました~!」
目に涙をためた蘭に抱きつかれる。
「うっ」
勢いのあまり思わずうめいた。
「よ、よかったわぁ!! 気がついて!」
店長のアイもメイクが崩れるのも構わず、泣き崩れている。
「え? ここは?」
痛む頭を押さえながら体をゆっくりと起こした。そして周囲を見渡す。
白い壁に白いベッド。そして、白い部屋着を着せられている。腕には針がささり点滴が打たれていた。
「病院よ。あなた一晩中意識失っていたのよぉ~」
ほっとしたような声で店長が話しかける。
「病院?」
(え? え? どういうこと??)
窓から自分が生まれ育った神戸の町並みが見える。
おかしい。先ほどまで自分は安土城の城下町の教会にいたはずだ。
燃え盛る炎の中に突っ込んだまでは覚えている。けれども、その後の事は良く覚えていない。
訳がわからず頭の中が整理できない。
「て、店長、蘭。今って何年?」
「2013年だけど? どうかしたの?」
店長は落ち着きの無い様子に心配そうに答えた。
「2013年……」
自分がいたのは天正7年、西暦1579年のはずだ。痛みの中ノブナガは必死に思い出す。
1568年から1579年。計11年間の時を過ごしたはずだった。
なのに今は2013年。一体どういう事だろうか。
「あの子ども達や、シスターは?」
火事を思い出し、慌てて二人に尋ねる。
「無事よぉ。ノブナガのお陰で大した怪我はないわ。でも気が動転しているから、勝手に申し訳ないけど、うちの店の事務所で休んで貰っているわ」
「そうですか、ありがとうございます」
ほっとしていつもの癖で首元を探り、異変に気づいた。
「ロザリオがない?」
「あぁ、火事の時落としたんでしょ? ご家族のもので確かにショックかもしれないけど、命が助かって良かったわ」
ノブナガが呆然としているのはロザリオを無くしたせいだと思い込み、店長は励ましてくる。
確かにロザリオが無くなったのもショックだが、それ以上に混乱の方が大きい。
(まさか、夢なの?)
織田信長を始めとした、戦国時代の人々と過ごした時間。夢にしては鮮明すぎた。
信じられない気持ちを抱えたまま、ふと枕元を見た。すると、プレゼント袋が置いてある。
「あの? 店長、蘭これって?」
「あぁ、それノブナガ姫へのお見舞いってさっき届いたのぉ。差出人が不明だったから、まだ空けてないのだけど」
店長がそう言うと、蘭も言葉を続ける。
「そうそう! ノブナガへの嫌がらせだったら、どうしようかって……」
嫌がらせにしては随分立派な包装紙に包まれていた。厚みのある黒い和紙に、赤のリボンがかかっている。良く見ると、和紙に花びらの形をした紋が透かしで入っている。
(この紋、どこかでみたことが……どこだっけ?)
「あの、開けてみていいですか? 流石に病院まで送ってくる人はいないでしょうし」
「そうねぇ、この病院にいるのは店の子か馴染みのお客さんにしか言ってないし」
店長が頷くと、ノブナガは恐る恐る封を開けた。
「え?」
驚きのあまり、目を見開く。
「ドレス?」
「わぁ! 綺麗な赤いドレス!」
蘭は歓声を上げた。プレゼント袋の中には赤い、華やかなドレスが入っていた。シンプルなマーメードラインのドレスである。
身長が高くスレンダーなノブナガに似合いそうなデザインだ。スリットが入っており、いつも着ているドレスと少し似ていた。
火事のせいでボロボロになったお気に入りの赤いドレスは、ベッドの脇に置かれている。その代わりとして送ってくれたのだろうか。
手紙など差出人が分かる物はないだろうかと探したが、特に何もないようだった。
(一体誰が?)
***
謎ばかり残ったがノブナガは退院後、すぐにclub “IXA”に復帰した。
「まだ、休んでいた方がいいのに!」
「そうよぉ~。無理はよくないわぁ」
蘭と店長は心配そうに、店で働くノブナガの様子を伺っていた。
「ありがとうございます。でも、教会も家も焼けちゃったから、私が働かないと」
子ども達とシスターは店長の好意により安く借りられたアパートに住ませて貰っている。
とはいえ、いつまでも甘えている訳にはいかない。
教会の立て直し。子ども達のこと、先を考えると頭が痛い。
真面目に今まで貯金してきたとは言え一から教会を建てると、とてつもないお金がかかる。
ノブナガは益々しゃかりきになって働いた。
幸い火事の後、心配した常連のお客さん達がマメに通ってくれるようになった。
「近藤さん! 今日もありがとうございます!」
「いやいや~頑張っているノブナガちゃんを見てたら、応援したくなっただけだよ!」
「早く、教会立て直し出来たらといいね。オレ今度友達連れてくるよ!」
「斎藤さんも……ありがとうございます」
応援してくれるお客様達の存在の有難さに涙が出そうになる。
この仕事をして良かったと、自然と思う。
まだまだ問題は山積みではあるが、真面目に努力すればきっと解決できる。
そう思った矢先だった。
「店長……元気ないですね」
店の控室に行くと、店長が沈み込んだ顔をしていた。
「嫌がらせ、まだ続いているもんね」
蘭も顔をしかめた。ノブナガ復帰後、暫くは落ち着いていた嫌がらせがまた酷くなっていった。相変わらず店に落書きや破損、店の悪い評判を流すなど陰湿なやり方をしてくる。
流石に心配になりノブナガは、休日に近くのアジア料理の個室居酒屋へ店長と蘭の3人で飲みに行く事にした。
居酒屋とはいえ女性向けでアジアンティストにオシャレに作られた店内で、料理もリーズナブルだ。気分転換と、普段のお礼も兼ねてである。
「すみません、店長。こんな店で」
「いいのよぉ。ごめんなさいねぇ。かえって気を使わせて。あまりにも嫌がらせしつこくて」
そう言って店長はビールをあおる。ノブナガはカルーアミルク、蘭は芋焼酎だ。
「またですか……。放火の犯人も見つからないし」
「蘭ね! 犯人らしき人見て警察に言ったのよ! けど現場で目撃しただけじゃ決定的な証拠じゃないって、言われちゃった……」
しゅんとする蘭を慌ててなぐさめる。火事の当日、店のライバル店の嬢を見たと蘭は警察に伝えたが、目撃しただけで犯人扱いするには弱すぎる。
「し、仕方ないですよ! 有名税ですよ、有名税。それにお客様は以前より増えていますし」
放火やネットの悪評で店とノブナガの知名度はかえって上がり、好奇心で訪れる人も増えていた。
最初こそ警戒する人もいるが、ノブナガに実際接するとクールそうな見た目に反し、懸命に相手に尽くす様にハマっていく。
さらに蘭が上手い具合に笑顔で客を転がし、二人の売り上げはぐんぐんと伸びていた。
「そうねぇ。蘭が優勝した時も凄かったし。まあ、私の教育が素晴らしいってことねぇ」
ようやく笑った店長の姿に、ノブナガはほっとする。
どこからか呼び出し音が聞こえてくる。
「あ、私の電話だわぁ。ちょっと待ってねぇ」
そう言って店長は携帯電話を取り出した。
「はい、アイです。……え? なんですって!?」
慌てた様子の店長に、蘭と顔を見合わせた。店長はその後、数分会話を続けた。
「どうしたんですか?」
電話を切った店長は真っ青な顔で声を震わせている。
「ふ、二人とも。沖田社長知っているわよね?」
「ああ、うちの店に出資してる人ですよね! え、もしかして今日飲みたいとか?!」
蘭が無邪気に答えると、店長は静かに首を振った。なんだか嫌な予感がする。
「ち、違うわぁ。沖田社長の会社の事業が失敗したらしいの……」
「え?」
ノブナガは思わず聞き返した。
「で、うちのライバル店がそれを聞きつけたみたい。それで沖田社長を支援する代わりに、うちのclub “IXA“を買収したいってぇ……」
「え?」
信じられず、もう一度聞き直す。
店長は青ざめた顔のままもう一度口を開いた。
「ライバル店がうちを買収したいそうよぉ」
「ば、買収っていってもただ出資相手が変わるだけで店は変わりませんよね?」
恐る恐る尋ねると、店長はゆっくり首を振った。
「違うわぁ。買収の条件は、キャストも私もスタッフも辞めること、club“IXA”の実質閉店よぉ……」

戦国時代最大の謎、1582年の『本能寺の変』について。元々信長が京都の本能寺にいたのは毛利軍と戦う秀吉の援軍の為でした。明智光秀の軍は先発隊として出陣しますが、突然引き返し謀反を起こします。多勢に無勢、本能寺は炎上しますが、なんと信長の遺体は見つかりませんでした。また何故明智光秀が裏切ったのかも様々な説があり、野心・恨み・恐怖・他に黒幕がいた! などと言われていますが未だ不明です。しかし信長の存在によって戦国の世が収まりつつあったと言われています。信長が生きていたら……なんて考えてみるのもまた楽しいかもしれませんね。
■注意■
- ●この小説はすべてフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
- ●この小説の著作権は「ポケパラ」にあり、無断転載(部分引用含む)は禁止です。
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