目次
-
2013.07.16
-
2013.07.22
-
2013.07.29
-
2013.08.05
-
2013.08.12
-
2013.08.19
-
2013.08.26
-
2013.09.02
-
2013.09.09
-
2013.09.17
-
2013.09.24
-
2013.09.30
-
2013.10.07
-
2013.10.15
-
2013.10.21
-
2013.10.28
-
2013.11.05
-
2013.11.11
-
2013.11.18
-
2013.11.25
-
2013.12.02
-
2013.12.09
-
2013.12.16
-
2013.12.24
-
2014.01.06
-
2014.01.14
-
2014.01.20
-
2014.01.27
-
2014.02.03
-
New!!
2014.02.10
作者情報
| 中里 朱里 |
| 小説家兼コラム二スト。 主に小説、恋愛コラム、携帯ゲームシナリオなどを手がける。 公式サイトはこちら 「nakasato akari.voice」http://nakasatoakari.jimdo.com/ 現在の仕事状況&実績、お知らせなどはサイトをご覧ください。 |
ノブナガ【完】
2014.01.27
第14話 ロザリオとドレス(後編)
それから店長をはじめとしたスタッフ達は、あちこち駆けずり回り、金策に走った。だがライバル店は資金力に物を言わせ、店長たちの動きを邪魔する。
なんとか一ヶ月の期限は設けて貰ったらしいが、思うように結果が出ない。
お客様も協力しようとしてくれたが、ことごとくライバル店が邪魔に入る。もう八方ふさがりだった。
そしてついに期限の日が訪れる。
「お店、潰れちゃうのかな」
いつも明るく元気な蘭もさすがに沈み込んだ様子で、開店前のお店にいた。スタッフ達も表情は暗い。
ノブナガもなんとか手伝えないかと色々協力してくれる人を探したが、結局見つからず仕舞いであった。
「蘭。今日もお客様は来てくれるわよね」
「そ、そりゃ最後になるからって! ……でも蘭、今日は皆に会いたくない!」
落ち込む蘭の肩をノブナガは両手で揺すった。
「しっかりして! 蘭! 確かにお店は今日潰れちゃうかもしれない。でも、私達は生きているからいくらでもやり直しがきくわ! それに今は目の前のお客様に集中しなきゃ。蘭を待ってくれる人がいるのよ」
ノブナガの叱咤に蘭ははっと目を大きくした。今後のことは互いに何も決まっていない。
それでもは希望を失ってはいなかった。
「そうね、 ありがとう! それにしても最近ノブナガしっかり者だね。火事の後から強くなった気がする! 決勝の前の弱気のノブナガはどこいっちゃったの?」
蘭にからかわれ、戦国時代で過ごした時を思い出した。
「死に物狂いで生きたからかな」
「え?」
「ううん、何でもない」
あの経験がノブナガを強くしたのだろう。最初は随分長い夢を見ていたのではと思った。けれども、あまりにも記憶が鮮明すぎた。
何か解決のヒントになればと近所の図書館やインターネットで『タイムスリップ』について調べみた。
すると単なる作り話だとは言い難い『タイムスリップ』に関する謎が世界各地に残されているのを知った。
何十年前に行方不明になり、突然現れた飛行機。未来から来たとインターネットで名乗る男。中国やイギリスで突然消えた軍隊。
昔の映画に写った携帯電話を持った女性。そしてオーパーツと呼ばれる、当時の技術では作れるはずのない世界各国にある謎の高度な加工品。
全てが本当かどうかは分からない。もし本当に起こったのだとしても、やはり何故自分がタイムスリップ出来たのかは分からないままだ。
けれども織田信長の事を思い出すと胸が痛むのは事実だ。そして今、ノブナガは彼が焦がれた平和な時代を生きている。
ならば懸命に生きるだけだ。生き延びろと命じた信長に誓って。確かに今の状況はキツい。でも諦めは、しない。他にも落ち込むスタッフや店長を励ますと、ノブナガは呟いた。
「さて、今日も稼ぎますか」
その日、club “IXA”は過去最高の売り上げを叩き出し、惜しまれながらも店の看板は下りた。
はずだった。
閉店時間ぎりぎりに、ノブナガの元に贈り物が届いた。
「ノブナガ姫~! アナタ宛よぉ」
「ありがとう! ん? 誰から?」
「さぁ、名前は無いわ」
既にノブナガはたくさんの花や贈り物で囲まれていた。けれども皆直接渡しに来たので、今日来れなかった人からのプレゼントだろうかと思った。
黒い和紙の小箱に、赤いリボン。そして 花びらの形をした透かしの紋。この配色には覚えがある。
「ドレス贈ってくれた人かな?」
贈られたドレスはまるで誂えたかのように、ぴったりのサイズで最終日の今日も身につけている。
このドレスを着ていると妙に落ち着くのだ。小箱を開けようとすると、男性スタッフが店長の元へ駆けつけた。
「て、店長! うちを援助してくれる会社、見つかりました!」
「ほ、ほんとぉ!!!」
店長も驚いた顔をする。
「だ、誰なの!? そんな素敵な会社の人は!」
蘭が凄い勢いで、スタッフに食ってかかる。
「最近話題の急成長したIT企業です! キャバクラ店の全国の事業展開もしているとこです! ええと、名前はKCカンパニーの……」
(KCカンパニー??)
ノブナガは首をかしげた。あまりIT企業には詳しくはない。
けれども喜びのあまり混乱し慌てふためくスタッフの姿を見て、ほっと胸を撫で下ろした。
「よかったぁ……」
諦めなくて良かったと顔をほころばせ、そして小箱を開ける。
するとそこにはダイヤモンドの指輪と、メッセージカードが入っていた。
「えっ? 指輪? 何これ?『奈々 迎えに来たぞ』……え?」
突然店の扉が開いた。
「まだ店は開いているか?」
背後から聞き覚えのある声。
でもまさか。そんなまさか。
プレゼントの包装紙の紋をあらためて見て、予想が確信に変わる。
花びらに見えたデザインは木瓜のものだ。ある家の家紋と全く同じである。以前良く見ていた家紋だ。
体の震えが止まらない。怖くて後ろを振り向けなかった。
「わー、いい男!」
蘭が無邪気にはしゃぐ声が聞こえる。
「あ、店長あの方です! あの方が援助してくれるKCカンパニーの社長です」
「社長!?」
思わず勢いよく振り返った。そこには一人の男性立っていた。
白いYシャツに濃いグレーのスーツ。
さっぱりとした短髪姿に、短い無精ひげ。
見た目はどこからどう見てもイマドキの日本人だ。
けれども大きく高い鼻とすっきりとした印象的の目元は変わらない。
首元からは見慣れたノブナガのロザリオが揺れている。
「どうしてここに?」
そこには、戦国時代で出会ったはずの信長がいた。
ノブナガは小箱を握り締めながら、立ちすくんでしまった。
■注意■
- ●この小説はすべてフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
- ●この小説の著作権は「ポケパラ」にあり、無断転載(部分引用含む)は禁止です。
- ●無断転載を行った場合、著作権法の違反となります。


6人がイイネ!と言っています