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2014.02.10
作者情報
| 中里 朱里 |
| 小説家兼コラム二スト。 主に小説、恋愛コラム、携帯ゲームシナリオなどを手がける。 公式サイトはこちら 「nakasato akari.voice」http://nakasatoakari.jimdo.com/ 現在の仕事状況&実績、お知らせなどはサイトをご覧ください。 |
ノブナガ【完】
2014.02.03
第15話 もう一度天下を(前編)
club“IXA”に訪れたのは本能寺で死んだはずの信長だった。
胸元を見ると、やはりノブナガのロザリオを身につけていた。
何故か初めて会った時とほぼ変わらない年齢に見えた。
「よぉ、貴様は相変わらず元気そうだな」
軽口を叩く信長の姿に、口をぱくぱくとさせるしかなかった。おかしい。今自分は現代にいるはずだ。
なのに何故、現代の恰好をした織田信長がいるのだろう。
「な、なんでいるんですか?」
「いちゃ悪いか?」
偉そうに腕を組む信長に、思わず叫んだ。
「いちゃ悪いっていうか、今ここ、平成ですよ! 2013年ですよ! 信長様、1534年に死んでっ。むぐっ」
信長は笑顔のままノブナガの口を手で塞いだ。
「あー面倒だからそれは黙っとけ。今度全部説明する」
すると先程から蘭にどつかれていたスタッフが、息も絶え絶えに口を開いた。
「あ、思い出しました! KCカンパニーの織田社長ですよ」
「おぉ、待たせたな。ギリギリまで貴様らのライバル店がやらかした証拠を探していてな。時間食ってしまった」
信長は、ぽんっと分厚い書類と大量の写真をテーブルに置いた。
「あっこの女、蘭見た! やだ! やっぱり放火してる!」
モノクロの写真には準優勝したライバル店のキャストが、教会に火を放った瞬間が映っていた。
「監視カメラに残っていたデータだ。あと嫌がらせや器物破損もライバル店のスタッフやキャスト総員でやっていたようだな。書類はこの店を強引に買収する為に色々あくどい手口をやっていたその証拠だ」
「監視カメラ……。うちの教会にありましたっけ?」
恐る恐る尋ねると、信長は鼻で笑った。非常に悪い顔だ。
「詳しく聞きたいか?」
「い、いいです」
信長はどかっと、革張りのソファーに座り込んだ。何が何だか分からないがこの変わらず偉そうな態度で、あの織田信長であるのは間違いないと思った。
「あ、あの信長様。それよりもまだ営業中なので、こういったお話はまずいのでは」
閉店間際とはいえ、まだお客もいる。思わず小声でささやくと、にやりと信長は笑った。
「安心しろ。今ここにいる者は全員俺の部下だ。なぁ、皆の衆!」
「え?」
「信長様! お待ちしていました!」
「流石! 現代の第六天魔王!」
部下と明かされた途端、客達がやいのやいのと騒ぎ始めた。中には常連の人もいたので、ノブナガは愕然とした。
(ちょ、な、何これ!?)
「今日はわが軍の勝利だ! さあ皆の者、祝いの宴だ!」
信長が叫ぶと、店長も蘭やスタッフ達もお祝いと言わんばかりに騒ぎ始めた。
「え? あ、あの閉店は?」
「こんな嬉しい日に店を閉めるわけにはいけないわぁ! 今日はオールよ! 姫達」
店長もハイテンションになり宣言した。
「え? ら、蘭」
「良かったね、ノブナガ! 店潰れないよ! 諦めなくて良かったね!」
泣きじゃくる蘭に抱きつかれたまま呆然とする。
「え? え? あのどういうこと?」
一人置いてけぼりのまま、祝い騒ぐ人々の渦に巻き込まれていった。
***
徹夜で飲み明かした後、仕事があるからと信長は部下達と店を立ち去って行った。
信長のお陰でclub “IXA”は買収されずに済み、またライバル店は警察の調査が入った後に閉店、嫌がらせも自然と無くなった。
そして店長から心機一転、お店を改装すると、知らされた。
その為club “IXA”は暫く休みになった。ここのところ働きづくめだったので有り難い話だ。けれども改めて時間ができると、何をしたらいいのか分からない。
ノブナガはアパートのベッドの上で、寝そべりながらうめいた。
「もう! 一体なんなのよ~!! 信長様は!」
左手のダイヤの指輪を眺める。指輪のサイズは左手の薬指にぴったりだった。いつの間にサイズを知っていたのだろうか。
(この指輪、どういう意味なんだろう……)
「ノブナガ~、だいじょうぶ?」
「つかれてない?」
うめき声に驚いたのか、子ども達が心配そうに部屋を覗いてきた。
子ども達12名とシスター6名を含めて18人と大所帯なので、シスター2人に子ども4人という人数配分で3部屋に分かれて住んでいる。
火事の後、賑やかだった子ども達は気のせいかあまり元気を無い。
夜中に火事を思い出し、うなされて眠れない子もいるようだ。
なのにこうやって自分の元気がないと励まそうとしてくれる。
「大丈夫よ! ムツキ、キサラギ」
安心させようとぎゅっと二人を抱きしめた。
そしてふと、戦国時代の教会に残してきた子ども達、特に貞のことを思い出した。
(あの子達も元気かな……)
ぼんやりと思いにふけっていると、呼び出し音のチャイムが鳴った。
「ん? 誰だろ。はーい今出ます!」
「ぼくもでるー!」
「わたしもー!」
他の部屋のシスターだろうかと、子ども達と共に玄関に向かう。
「どなたですか?」
扉を開けると、なんとそこには信長がいた。今日はTシャツにジャケットとラフな格好だ。
「貴様は戦国でも平成でも、子どもといるな」
ノブナガのロザリオもやはり身につけている。
「の、信長様!」
「だれ? このひと?」
「ノブナガのかれし?」
「か、彼氏じゃないわよ!」
無邪気に尋ねる子ども達に、真っ赤になりながら答える。
「彼氏ではない。 一応婚約した身だ」
「ちょ、信長様! 子どもの前で何言ってるんですか!」
赤くなった顔のまま反論するが、左手を捕まれ動揺する。
「指輪つけているんだな」
「も、貰ったものは使う主義なんです!」
信長は爽やかに笑う。
(の、信長様が。あのあくどい笑顔の人が爽やかに笑ってる!)
うろたえ、心臓の音が早くなるのを感じた。
「なあ、奈々よ」
「な、ななんですか」
「時間貰えないか。デートするぞ」

案外キャバクラみたいな店があったかもしれません。それでは最後まで読んで頂き感謝します。少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
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